郵政民営化に成功した国は…実は1国もナイ

イギリスも郵政民営化を凍結したし、オーストラリアもドイツも民営化に成功していない。
ネオリベの権化の米国ですら、郵政の民営化はしていない。
…なのに、どうして日本だけ郵政民営化をしなければならないのだろう?

フランスメディアの記事にある『民営化に反対する10の理由』を読むと、
置かれた現状が日本とよく似ていることに驚いてしまうが、
日本では、こういった郵政民営化を危惧する報道は殆どみられない。

それどころか、
小泉の郵政選挙郵政民営化のお墨付きを貰った!を、未だに振り翳す報道が多い。
民営化に成功した国が、ただの1国もないコトも、都合が悪いのか殆ど報じられない。

竹中路線を修正しようとする原口総務大臣亀井静香をバッシングするのもいいが、
日本の郵政民営化なのに、17回も米国政府と協議をしていた竹中平蔵の検証もして欲しい。
そもそも日本以外の国で、外国政府と17回も協議し、
外国政府の言い成りに郵政民営化をすすめるようなコトは、、、アリエナイのだから。

■郵政民営化をめぐり、なぜ17回の日米協議が必要だったのか



http://www.rue89japon.com/?p=3732

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フランス郵便民営化に「ノン」と投票した10の理由  ダヴィッド・セヴェルネィ Rue89  |09/10/21

フランス郵便民営化に対する国家委員会の詳細結果を待つにあたって、Rue89は、土曜日の投票を済ませた住民
の反応の調査をおこなった。およそ200万人の市民が投票に参加したとみられているが、予期されていた通り、
大多数が「いいえ」に投票した。この公共企業の民営化反対には、以下の10通りの理由が存在している。

1.低価格のサービスを維持するため
フランス郵便はこの15年間、あらゆる商品を世に送り出してきた。しかしこれによって、サービス事業に関する
費用が徐々につり上がっていると指摘する市民の声は多い。退職した元窓口係のPhil2922さん(ハンドル・ネー
ム)は、価格自由化がおこなわれ、「利用者」が「お客様」に変わった当初のことを忘れていない。
 
「1994年、私は窓口係でした。その年、フランス郵便のオフィスには、黄色い郵便ポスト(今日ではもうありま
せん)を、一般の人の目の届かないところへ片づけるようにと命令が届きました。まだこのポストの関連商品が
あったのに、です。
 
なぜなら、フランス郵便は新たに郵便ポストと、簡易郵便商品を世に出したばかりでした。郵便局員にはプレッ
シャーと共に売り上げ目標が課せられました。知っておいていただきたいのは、小包をひとつ送るとすると、第
4定形郵便の箱とそれに相当する簡易郵便とでは、25.00フランの差があったことです」。

2.社会的なつながりを維持するため
多くの村にとっては、黄色と青色の窓口は、最後に残された行政の代理窓口だ。また、郵便局員の配達も、定期
的に社会と連絡がとれる最後の手段になっている。イヴォン・ル・ゼブロンさんもすでに退職されているが、彼
はこの社会とのつながりの重要性を主張している。
 
「私としては、率直に、郵便局がなくなるのは見たくないですね。田舎の片隅ではとても役立つものですから。
それに、郵便配達員に一人暮らしのおばあちゃんたちに届け物を続けてほしいです。だけど、まったく時代遅れ
になってしまったと考えられるシステムを改善することについては、反対ではありませんよ」。

3.雇用と地域を守るため
2008年に29万5700人の人員を抱えているフランス郵便は、公的機関の中では最も大きな雇用主のひとつである
。自由化の動きは、郵便や金融業界への競争を招くことで、人員削減へと表れていくだろう。この点について、
Gogo Gadgetauchapeauさんは、フランスの事情と隣国ドイツの事情を比べて、以下のように語る。
 
「おそらく(確認しに行ったわけではありませんが)、ドイツでは、1998年に始まったドイツ郵便の民営化の結
果、10年間で窓口の数は30,000から12,000になり、従業員は半分ぐらいに減ったでしょう。
 
ですから、私の考えが正しければ、採算の合わない(たいてい孤立したところにある)窓口やポストはなくなっ
てしまうでしょう。善良な山地の住民や、特にお年寄りにとって、これはよいことではありません」。

4.民営化は失敗だから
民営化の問題に関して、政府に強い不信感が向けられている。この15年にわたる経験が、その教訓である。元文
部省職員ジュロさんは、次のように真剣に語る。しかし、企業が変遷していくことについては反対ではない。
 
「おそらくどこかでは、エストロジ産業大臣の(または議会の読会・第二読会、市民投票後の)改革は、一定の
サービス改善につながるでしょう。しかし全体で見れば、この改革より信頼できないものなんてありません。特
に、前例の評価が低かったですから、市民の信頼は大きく失われています。
 
私は反対に投じました。理由はもう、私は現在の政府も首相もまったく信用できないし、思ってもみてください
よ、公共の利益がからむときは特にそうでしょう」。

5.社会不安の影と闘うため
これも時代の風潮なのだろうか。いずれにしても、ここ数ヶ月、フランスを揺り動かしている社会不安の大部分
は、フランス郵便とその未来のことに集中している。今回討議されている改革が、あたかも最近の変革の失敗例
に類似しすぎているかのようだ。コリュム・ジャエレン・イルセイさんは、市民の反応をこう言い表す。
 
「(現在の)権力をもっている人たちが、不正、いかさま投票、世論操作、民主的な投票の基本ルールが守られ
ていないこと等々をわめき立てている諸々を聴いてきました。論点はそこじゃないんです。そんなことはどうで
もいいんです。
 
大多数の人が、フランステレコムやフランス電力公社、フランスガス公社と同じ事がフランス郵便に起こるのを
心配しているのは明らかです。つまり、行き過ぎた自由主義は、社会不安や苦しい生活、困窮を伴うのです。私
にもこの主張だけはわかります」。

6.顧客の貯金を慎重に管理するため
 忘れてはならないのは、フランス郵便は、富裕層ではない顧客の銀行でもある。これは繁昌している会社と同
じような面がある。というのは、フランス郵便は57億ユーロ超の赤字を抱えているが、一方2008年には純利益
5億2,900万ユーロ、売上高208億9,000万ユーロの数字をはじき出している。
 
この安定性の理由の一つは、郵便局経営者の慎重さである。弊社のブログMouloud Akkoucheに次のようなコメ
ントが載っている。
 
「2006年に創設されたフランス郵貯銀行は、2008年の経済危機でのリーマン・ブラザーズ破綻の際でも、6,000
万ユーロの損失しか出さなかった。一方、お隣の連合王国では、郵便事業民営化は、納税者に15億ポンドの負担
を強いることとなった。あっちの端からこっちの端へと、イギリスの郵便事業は緊急に再国有化されなければな
らない状態だ」。

7.国内の雰囲気を悪化させないため
この職場で働くかなりの数の人々にとっては、直接関わってくる問題だ。banshee57さんは、事業の完全民営化
計画がだんだんと明確になってきて相当うんざりしている。培われてきたものを変えるには、激しい摩擦が生じ
るのを避けられない。
 
「一体どうして、私たちみんなが非常に不愉快な言葉ばかり投げつけられなければいけないんですか。いつもで
たらめですよ。それにどうして私たち最下層が苦しんでいる声に聞かぬ存ぜぬなんですか(私が一番腹が立つの
は、経営難だから民営化するっていう議論だと思います。だって、60万ユーロの黒字があるのに、私はこれを経
営難とは呼ばないですよ。
 
いろいろ変わってきています。郵便配達用として、BMW5シリーズ300台の提供がありましたし、もうすでに職
務は削減されました(だけどまだ民営化されてないんですよ)。何ヶ月か前から、私たちのところで再編作業が
始まっていますけど、全然うまくいっていません(私が主張したって何にもならないですが、地べたを見たこと
ない人たちが、一体どうやって私たちを効率的に再編するんですか。胸がむかむかしますよ」。

8.数々の有用なサービスを守るため
フランス郵便は従業員の評価が思わしくない。「日和見主義」「呑気」「怠惰」等々。しかし、お気に入りの郵
便配達員への愛情は別だ。キャンディドさんは配達員について感じよくこう言う。
 
「申し添えたいんですけど、もし投票に行く機会があったら、不在者投票で反対に票を入れたと思います。しか
し、私たちの配達員は好かれていますよ。これはきちんと言っておかないと」。
 
それに住民の多くは、フランス郵便には他の会社にはない、生活を楽にしてくれる度量があると認めている。た
とえば、ある地域では郵便配達は一週間につき3日しかないが、ソーリーさんのところには配達が休みでも届く
ものがある。
 
「恐れ入ってますが、土曜日に週刊誌が送られてくるんです。だから、その日に配達がないなど問題外なんです
」。

9.政府へ政治教訓を与えるため
任期半ばの影響だろうか。明らかに多数の住民が、政府の小手先の改革と、大統領の気まぐれにいらいらを募ら
せている。数々の理由が表立って引き合いに出されているが、この市民の判断は、世間一般の議論に再び立ち戻
らせるものである。社会福祉関係で働くLangue-rougeさんは、そのことについてこう言い表している。
 
「今回の国民投票はとりわけ、正しいやり方で本当の国民投票ができるように組織されています。賛成派は自分
の考えを表すことも、キャンペーンもできますし、誰の目にもはっきり見える形で、賛成理由の弁護ができるで
しょう。
 
だから役割を取り違えないでください。民主主義を望まないのは政府なのです。少数派に追い込まれて野党に大
挙して躍進されるかもしれないという危惧がなかったら、この非常に大切なテーマに関して、何が政府を止める
ことができるでしょう」。

10.社会党へ政治教訓を与えるため
住民は忘れていません。左派政党が政権を握った際、決して民営化の動きを緩めなかったことを。Tonimarus45
さんもその一人だ。
 
「ジョスパン氏が首相だったときの、左派の部分的/全体的な民営化のことを忘れてはいけませんし、動き出し
ている電車にためらいなく飛び乗るような真似を見るのは、吐き気をもよおします。今回の国民投票で正当な立
場の人がいるとしたら、フランス郵便に勤めていて組合に入っているブザンスノー(新興の左派政党の党首で郵
便配達人)で、彼は社会党員ではありません」。

 ご覧のように、フランス郵便の背後では、多数派と反対派の対立が続いている
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